追及していた“犯人”は日建設計だった?

前述のプロポーザル技術審査委員会の第3回議事録で開示された“ノリ弁”のノリの下には、次のような発言が記載されていた。前述の「地下ピット」や「盛り土」についても、ここに出てくる(文中「ピット」は空間、「ラップ」は重なる、というくらいの意味)。

「それから、長寿命化とメンテナビリティについてもご説明させていただきます。これは、水産部の床のイメージでございます。ピットを設けまして、配管類はピット内を通ることにいたします。このことによって配管類のメンテナンスが可能でございます。また、ターレーが移動したり荷が移動したりする直接接する部分、この部分はコンクリート2層置きにしてクラックの防止に努めます。卸売市場では、床が命がけだと思っております。しっかりした床をつくることが長寿命につながると思います。また、地中からの有害物質も、クラックを防止することによって建物内に侵入しないようにできるかと思っております」(以上、同議事録6頁後段~7頁前段)

「次に、盛り土工事の省略による コスト削減と工期短縮についてご説明させていただきます。今回、土壌汚染工事と建築工事は期間的にラップしております。それぞれを合理的に考えることによってむだを省くことができると考えております。例えば、土壌汚染対策を建物の基礎底盤のところでとめることによって、土壌汚染工事の埋戻し工事を最小限にすることができます。また建築物の掘削工事もなくすことができるということで、工期の短縮を図ってまいります」(同上)

豊洲新市場建設工事の基本設計契約日は2011年3月4日が予定されていたため、この日はちょうどその1カ月前である。したがって、ここは技術提案書に対する委員のヒアリングに対して、日建設計が汚染対策に伴う方法論を説明した重要な場面だ。前述のように「ピット」を設けることは、汚染土もない通常の建築なら常識でもある。

この議事録開示によって、「追及していた“犯人”は日建設計だった!」ということになったわけだ。以上が、ここまでのあらすじとなる。