「ついでに」商法は、まっとうなビジネスでも使える

ビジネスにおいても、この「ついでに」という形は、とても使い勝手のあるものだ。最初から単刀直入に本題を尋ねるのではなく、「もうひとつ、お伺いしたいのですが」と、ソフトな形で質問すれば、相手は答えやすくなるだろう。

刑事ドラマを見ていても、刑事が容疑者に向かって、帰り際に振り返り、「あっ、最後にもうひとつだけ、質問よろしいですか?」と尋ねる。すると、相手は不意を突かれて、本音を答えてしまう。そんなシーンをよく見かける。

案外、人は本筋から離れたところから、やってくる言葉や行動などに、弱いものだ。本当に聞きたいことを「ついでに」にしてみると、警戒心なく相手は答えてしまい、本音を漏らしやすくなる。

これは、営業でも大いに使える。例えば、飲食関係の販売営業をしているとする。ある店でプライベートでの飲食をしたついでに、店主へ今後新たにメニューに加えたいと思っている商品を尋ねながら、名刺を渡し、自社の人気商品を紹介するなどして、「興味がありましたら、よろしくお願いします」と、プラスαの営業につなげることができるだろう。

ほかの営業でも使えそうだ。広告会社があるメーカーのチラシ制作の受注をした時に、ついでに他の営業所でも何かイベントを企画していないかを尋ねる。こうしたノリシロを多く重ねることで、次の仕事への足掛かりにできる。ごりごりの真正面からの営業だと、相手が面倒臭がったり、「何か、売りつけられるのではないか」と警戒したりするが、「ついでに」というスタンスにしておくことで、相手の心にすっと入ることができる。

特に、住宅やマンションなどの大きな金額を扱う営業では、まめに顧客のもとを訪れながら、タイミングを見て、営業をかけることだろう。これを「近くにきたついでにお伺いしました。何か、お困りのこと、ありませんか?」というソフトな形で話をもっていかないと、相手から「また営業に来たよ」と嫌がられるに違いない。

「ついでに」とは次の種をまくことだ。

その種に信頼という水をかけながら、大きな取引に成長させていく。この「ついでに」という“ノリシロ”があって、今の仕事と次の仕事をつなぎ合わせられる。これを多くした人ほど、営業実績は伸びるはずである。

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