なぜ「なくて七癖」を改善するのが難しいのか?
2.クセづけが難しい最大の理由
これらのクセづけは、なぜ難しいのでしょうか?
最大の理由は、認知資源(意識するエネルギー)が配分できないからです。私たちが、受験生のとき、学習する習慣を身につけることはそれほど難しくはありません。学生の生活習慣とはそもそも勉強する環境が整っており、仕事や家族など勉強以外に認知資源を配分する必要はありません。
つまり、習慣化という観点では、勉強のことだけ考えていればいい学生は勉強する習慣は実践しやすいのです。
ところが、小さな習慣とは当たり前の動作にする必要があるわりには、認知資源を傾けるのが容易ではありません。
たとえば、「こまめに電気を消す」という習慣を身につけるのに朝から一日中電気を消すことばかり考えていられません。他のことに認知資源を傾けても足りないほど私たちの日常は忙しいはずです。そのため、小さい習慣は意識づけしようとしても意識そのものができないというジレンマが出てきます。
小さな習慣を身につけるには、認知資源を使わないで済むような工夫が必要です。
3.小さな習慣は簡単な仕組みが有効
小さな習慣、意識づけというレベルのものは、認知資源を使わずにクセづけするのが一番です。
仕組みとして、リマインドツールを用意することがひとつの解決策です。
たとえば、電気をこまめに消すならば、部屋を出るときに「電気を消しましたか?」という張り紙を張っておくと思い出すことができます。
また、ハミガキを念入りにするということであれば、洗面所に5分の砂時計を用意してみてはいかがでしょうか? 砂時計の砂が終わるまで、磨き続けるという簡単なツールがあれば、私たちはブラッシングを念入りにやることはできるでしょう。
エレベーターを使わずに階段を使うという習慣づけは多くの会社でエレベーターに「3階までは階段を使おう、健康のために!」というようなスローガンが張っていたりします。
爪を噛むクセがある人は、1カ月間、聴き手の良く噛む爪に絆創膏を張っておくといいでしょう。そうすれば、噛む瞬間に、思い出すことができます。
このように、仕組みをつくる、ツールを用意すると適切なタイミングで思い出すことができ、認知資源を消費せずに済みます。
そのため、小さな習慣を阻む最大のネックが解消されるのです。
なくて七癖。ぜひ、あなたの小さな習慣を棚卸しして、「仕組み・リマインドツール」を用意してみて下さい。