いまだに日本では「CO2の排出削減は産業を衰退させるから受け入れられない」という命題を金科玉条とする「第二の波」派が幅をきかせている。石炭、石油、天然ガスの3つの化石燃料に炭素含有量に応じて課税する環境税に対して、多くの経済団体が反旗を翻している。そのため、環境税の導入への道は険しい。

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とはいえ、いかなる強者であれ、時代の潮流には逆らえない。2つの波頭が鍔迫り合いを始めた当初には、古い波が新しい波を圧倒しがちである。古い波は膨大な既得権益を抱え、さらに政治や行政に対する強力な圧力をも兼ねそなえているからだ。

しかし、新しい波が古い波を押し返す力もあなどれない。せめぎ合いの果てに、いったん新しい波が優勢になると、古い波は跡形もなく消え去ってしまう運命にある。北欧三国とデンマーク、オランダは90年代初頭に、ドイツと英国が90年代末に、今世紀に入ってからフランスとイタリアが環境税を導入した。ヨーロッパ諸国では、「第三の波」派が「第二の波」派を完全に押さえ込んでいる。

今年に入り、家庭での太陽光発電を促進するために、太陽光発電された電力を電力会社が電力料金の2倍の価格で買い取ることを義務付けることが発表された。日本でも「第三の波」派が優位に立ちつつある。現代世界の動きを俯瞰するとき、いまでもトフラーの教えは多くのヒントを与えてくれる。

(構成=伊藤博之)