「家の頭金」「教育資金」積み立て同時進行なら月15万
さらに住宅購入後の次に大きなハードルとなるのが、子どもの教育費用である。ほとんどのご家庭では、子どもが生まれてから教育資金の準備がスタートする。
そうなると、結婚後は(A)住宅購入のための頭金作りと、(B)子どもの教育資金という2つの目的のために貯蓄プランを立てなければならない。
貯蓄プランのキホンは、(1)目的(何のために)、(2)目標金額(いくら)、(3)期間(いつまでに)の3つを明確にすること。
そこでたとえば、(A)について、(1)住宅購入の頭金のために、(2)1,000万円を、(3)子どもの小学校就学前までの6年間で、と設定した場合、年間必要貯蓄額は約167万円になる。
さらに(B)について、(1)子どもの教育資金のために、(2)300万円を、(3)子どもが大学入学までの18年間で、と設定した場合、年間必要貯蓄額は約17万円になる。
したがって、(A)(B)を合計した年間必要貯蓄額は約184万円。月額にすると15万円以上貯蓄しなければならない計算だ。
試算をすると、「収入が少なくて、そんなに貯蓄できない!」多くの人が悲鳴を上げるが、「奥さんのパート収入とボーナスを貯蓄に回して、残りは月収の2割を目標に毎月積み立てすると、クリアできないことはありませんよ」とアドバイスすると、納得する方も多い。このように、具体的なゴールを設定すると、貯蓄のモチベーションがずっとキープできる効果もあるのだ。
また、住宅ローンを減らすことに躍起になって繰上げ貧乏に陥らないようにすることも大切だ。何か急にまとまったお金が必要になったとき、手持ちのお金がなければ、高金利なローンを組んで調達しなければならないようでは本末転倒になる。
その原因の一つが「親の介護」である。
晩婚化・初産の平均年齢の引上げ、少子・高齢化の進展などを背景に、子育てと親の介護を同時に行う「ダブルケア」の人が増えているという。
内閣府が初めて公表した「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」によると、ダブルケアを担う人は、推計約25万人で、その割合は、女性68%、男性約32%と圧倒的に女性が多い。
ダブルケアを行う人の平均年齢は、男女とも40歳前後で、30~40歳代が多く、男女とも全体の約8割を占めている。
*出所:「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」内閣府男女共同参画局平成28年4月
「住宅ローン返済」、「子どもの教育資金」、「親の介護」-大きなお金が必要となるライフイベント(できごと)はさまざまだが、人生何か起きるかわからない。
それぞれのご家庭の事情や考え方によって、優先順位は変わってくるが、いずれの問題にも耐えられるように、経済的備えをしておくこと、柔軟な家計管理をしておくことが必要である。