次に、途中にある山の部分、谷の部分には、その時期に起こりそうなエピソードを想像して書き込んでいく。例えばこれから3時間でお客さま向けの提案書をつくるなら、右上の<未来>は提案書が完成してハッピーな瞬間であり、そこまでにいくつかの壁を乗り越えていくイメージになる。
「曲線を描くときは、利き手とは反対の手にペンを持つといいでしょう。できるだけ意図的にならないためです。人間はどうしても自分がもつ認識の枠で世界を捉えようとする。その枠を超えるために、あえて偶然性を用いるわけです。そしてもう一つ、自分の枠を超える方法として重要なのが、第三者を思い浮かべること。相手をハッピーにする、他人をハッピーにするという視点です」
自分がハッピーになりたいという<利己>の精神状態に留まっていては、自分の枠を超えられない。誰かを思い浮かべて「あの人がハッピーになるには、自分はどうすればいいのかな?」と想像をめぐらしてみる。その人がハッピーなら自分もハッピーだというように、自己を投影できる他者をハッピーにする<利他>の発想ができたとき、本当に解決すべき真の課題が見えてくるのだという。
100%でなく120%を目指す
提案書の例でいえば、「お客さまをハッピーにする」、さらには「お客さまにとってのお客さま=エンドユーザーをハッピーにする」と視点を変化させることで新たな発想に結びつく。その提案書で解決すべき真の課題を探っていくのだ。
「相手に100%ハッピーになってもらうのでなく、120%ハッピーになってもらうと考えれば、それだけでも自分の発想は変わります。私がコンサルティングで関わった会社が飛躍的に成長するときは、必ず誰かをハッピーにしたいという利他の視点があるとき。利他の発想で行動したプロセスを通して、自分のビジネスに役立つヒントが得られるからです」