なぜ、なぜと5回掘り下げるのがトヨタ流だが、こうして自分の仕事の過程を辿っていくと、まるで意識の外だった日々の段取りが頭の中でクリアになっていく。新鮮である。

タスクカードを書くには、まず自身の仕事を2~3時間、他のメンバーにも渡せる程度に分割する。このとき、必要な技術知識・ノウハウをインプットするための「外段取り」を意識する。寿司でいえば、魚介類をブロックにするのが外段取り。ブロックを切って客に握るのが、いわば「内段取り」だ。無論、重く見るのは内段取りのほうである。

仕事上の時間は、内段取りに割く「正味時間」と外段取りに割く「付帯時間」、「ムダ」の3つのうちいずれかだ。より早く顧客に付加価値を提供するために、付加価値に直結しない付帯時間やムダを、外段取りとして外に追い出す。

「いかに付帯時間を減らし、正味時間に転じさせるかが肝要。本当に価値がある仕事か否かを洗い出し、例えば8時間かかっていた仕事を7時間、6時間で終わらせることで、生産性の向上に繋げるわけです」(高木氏)

<シンポー社> 各部署のリーダーが集合(写真上)。高木氏(同左下)の講義では上杉鷹山、渋沢栄一、王陽明ら東洋の英哲が登場。脳科学の知見とトヨタ流との接点も。「なぜトヨタで人材が育つのか証明はされていませんが、我々が後追いでその原理を証明しているようなもの」(高木氏)。

(石橋素幸=撮影 時事通信フォト=写真)
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