若い世代ほど老後の資金は不足する
もう一つは、どんな住まい方を選択しても、住まいへの出費は避けられないということだ。老後のライフスタイルは、いまから急いで考える必要はないが、老後のための貯蓄はすでに始めていなければならない。
近頃は、国も企業も、規模を縮小するダウンサイジングに舵を切っている。家計も同じで、節約するだけではいけない。例えば、月々の支出を2割カットするなど、大胆なダウンサイジングに取り組むようにすべきだろう。
現実的な話をすると、老後の生活資金は年金だけでは足りず、それも50代、40代、30代と若い世代になるほど不足するお金は増える。
老後の生活資金についてシミュレーションをすると、年金だけで暮らしていけるのは、昭和16年4月1日以前に生まれた人たちだけだ。この世代は、60歳から年金を満額もらっている、年額でいえば、夫婦2人で350万円以上となっている(厚生労働省調べ)。
問題は、昭和16年4月2日以降に生まれた世代(男性の場合)だ。60歳からは部分年金しかもらえない。現在の年金制度では、2001年以降、段階的に満額支給年齢を遅らせる仕組みとなっている。団塊世代の満額支給は64歳からで、それ以降の世代は65歳からだ。
仮に65歳から満額年金がもらえるようになっても、夫婦2人の年金だけでは生活費は不足しがちだ。
夫婦ともに85歳まで生きると仮定した場合、老後に必要な生活資金は8800万円、現在60歳の夫婦で、もらえる年金額は6500万円だ。不足額は2300万円もある。年に換算すると92万円の赤字、50歳の夫婦では2980万円で、年間119万円の赤字だ。40歳の夫婦では3250万円も不足し、毎月10万円強の赤字となる。