【戦略(1)】エレガントな解決策を探す
強力な相手から魅力的とは言いがたいオファーを受けたとき、最善の選択肢はエレガントな解決策、つまり相手が押しつけようとしている案より大きな価値を双方にもたらすことになる対案を探すことだ。こうした対案を生み出すにはどうすればよいのか。
まず第1に、自分のBANTA(交渉が決裂した場合の最善策)を強くするために、自社の事業戦略を変えることを検討する。具体的には、現在の契約でもっと大きな利益を生み出すために低コストの方法を探す。ピクチャークイックにとって、これは自社の年間売り上げを増やすと同時にスーパーマートの売り上げ目標も満たすということだ。ピクチャークイックは、ブースでオンライン・フォトアルバム作成ソフトなど、新しい商品やサービスを加えることを検討してもよいだろう。あるいは、フォトアルバムやマウスパッドに画像を印刷する会社など、関連商品やサービスを提供するパートナーを見つけるという手もある。このようにすれば、ピクチャークイックはスーパーマートが要求している追加の10%を生み出し、同時に自社の利益を高めることもできる。
第2に、相手の関心をさらに探ってみることだ。スーパーマートがどのような人口動態セグメントを新たに店に呼び込みたいと思っているかを突き止めるのだ。スーパーマートの現行製品ラインで収益性が落ちているものは何か、競合他社に負けている分野は何か――このような情報を手にしたら、ピクチャークイックはスーパーマートが現在の問題を解決するのを手助けできるかもしれない。スーパーマートが現在扱っていないコンピュータゲームを販売するという副次的なビジネスを提案してもいい。こうやってスーパーマートの店舗に出店したいと思っている潜在的パートナーを巻き込むのだ。
第3に、強い側にとっての価値を生み出す他の方法を検討してみよう。ピクチャークイックは、出来上がった写真を自社独自の封筒に入れて渡すのではなく、スーパーマートのロゴをあしらった共同製作の封筒に切り替えてもよいだろう。
また、封筒にスーパーマートのクーポンを入れたり、出来上がった写真の裏にスーパーマートのロゴを印刷したりしてもいいだろう。共同ブランド構築などの新しい形の宣伝によって、ピクチャークイックは両社のパートナーシップに価値を付加し、他社に乗り換えるよりもこの関係を維持するほうがスーパーマートにとって得であるというデモンストレーションを行うことができる。