オンライン講座を中心にコミュニティを作る

【三宅】やはり人気講座はあるんでしょうね。

【伊能】もちろん、年代別にいろいろ差がありますが、ビジネスマンのユーザーが多いものですから、比較的実学系の講座に人気が集まっています。一方で、シニアの方も受講されていますので、そういう方々は教養を高めるものに興味、関心があるようです。

あまりジャンルを区切らないでコンテンツ化しているので、何かを目的にアクセスしたのだけれども、「あれ、よく見たらこんなのもあるじゃないか」と発見がある。そうすると「ちょっとやってみよう」となって、必ずしも目的志向ではなくて、自分の見識を広げようという受講になります。

【三宅】それは私にとっては耳が痛い。

【伊能】最近の働き方として、キャリアチェンジをすることもあり得るわけです。そのときに「ここしか知りません」という人よりも、ここまではある程度知っているとか、関心があるっていう人のほうが可能性は広がる。そんなニーズにも対応できます。

『対談! 日本の英語教育が変わる日』三宅義和著 プレジデント社

【三宅】「対面学習コース」というのは、スクーリングのようなかたちで受講期間中に集まって、そこで講師から実際の授業を受けるということなのでしょうか。

【伊能】ネットの学習だけでは物足りない人たちのために、「gacco」では一部の講座でオンライン講座と対面授業を組み合わせています。こちらは有料で、講義動画の視聴やクイズ、レポートなどで基本的な内容を学んだあと、対面授業で講師や受講者同士のディスカッションを通じて、直に先生と触れ合うとか、同じことを学んできた同士で議論を深めたりします。すると知識も定着します。

時間は半日ぐらい。開講中に2回やる場合もありますし、1回ということもあります。今後はスクーリングだけでなく、体験学習としてツアーに行くとか、フィールドワークをすることも計画しています。

【三宅】自宅でできることを、わざわざレッスンでやるのは非常にもったいない。「gacco」なら、オンラインでできること、かつ、それとは別に対面式でないとできないものの組み合わせは非常に効果的でしょう。英語で言えばやはり人前でしゃべるというのが必要です。私と伊能さんのふたりだけで会話するのと、周囲に人がいるプレッシャーの中でしゃべるのは、全然これは違います。

【伊能】実社会での発言が必要だと思うんですよ。その意味では「MOOC」というのは配信だけじゃなくて、掲示板も設けられていてコミュニティがあるんです。同じ講座を学んでいる人同士で質問し合ったり、「どこに集まるよ」と誰かが呼びかけて、ミートアップと呼んでいますが、勉強会が持たれたりします。要するに、私たちは単にコンテンツを配信するというよりは、知とか学びをきっかけにしたコミュニティを作りたいなと思っています。講座卒業生たちによる花見をするグループもできています。そんな人間関係を構築して、さらに発展的な学習ができればうれしいですね。

(岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)
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