【田原】最後にマネーフォワードの将来像を聞かせてください。

【辻】私たちはスマートフォンでお金の悩みをすべて解決できるサービスをつくりたいと考えています。別の言い方をすれば、ユーザーサイドに立ったコンサルタント。マネーフォワードとつきあえば、お金についての心配は何もいらなくなるという世界をつくっていきたいです。

【田原】法人向けは、税理士さんがその役割をするとおっしゃってましたね。個人向けは、辻さんのところがコンサルをやるわけですか。

【辻】いま「お金のコンサル団」というサービスをやっています。著名なFPや会計士の方々に質問に回答してもらうというサービスです。いずれはこれを人工知能化して、簡単なものは人工知能が答え、まだ難しいものやパーソナルなものは人が答えるといった形にできたらいいなと。

【田原】今日はお話を聞いて、フィンテックの片鱗がようやくわかったという印象です。また今度、じっくり聞かせてください。

田原氏への質問:私の知らない、すごい経営者の話を聞きたいです

【田原】辻さんがソニー出身なので、創業者の盛田昭夫さんの話をしましょうか。印象深いのはテープレコーダーの売り方です。GHQの事務所で見たテープレコーダーに興味を持ち、製品化した。ただ、できた製品は1台35kgで、価格も16万円とバカ高い。当時は社長の給料が4万~5万円でしたから、誰も買いません。

しかし、盛田さんは諦めずに歩き回り、ようやく1台売りました。相手は裁判所。裁判所は記録が大事で、予算もあったのです。その後、視聴覚教育に使えるということで文部省に売り込んで成功した。将来性を見抜く力、諦めない情熱、お金があるところをかぎつける嗅覚を持っていた。いまの経営者も見習うべきでしょう。

遺言:ソニー盛田昭夫の信念を見習え!

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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