結婚を考えている若いカップルや夫婦に観てほしい
千恵さんがはなちゃんに本格的なみそ汁のつくり方を教えるシーンは、鬼気迫るものを感じました。まだ4歳の子どもにみそ汁をつくらせるのは、どう考えても無理があり、危ないのですが、それを可能にしたのは千恵さんの愛です。これは私の妻にも見習ってほしいというか、夫婦で見習わなければならない教えと痛感し、妻と話し合いました。
妻にもしものことがあったとき、娘がひとつでも多く、妻の愛から大切なことを教えてもらっているほうがいいのはいうまでもありません。このことは娘がママに愛された証にもなり、娘の財産にもなります。ただ、なかなか難しいことです。だからこそ、夫婦で真剣に考えなければならない、と思いました。
大きな疑問をもったシーンもありました。それは千恵さんが病院の治療よりも代替療法を過信したことです。そのため定期検診を受けず、そのことが引き金となって余命宣告となったように思えました。実際、このようなケースはめずらしいことではありません。大きな問題になっているくらいです。
がんの治療については、いろいろな考え方があるのですが、少なくとも病院での治療や検査を受けながら、代替療法を行うほうがいい、と考えています。これは、私が代替療法だけでがんを治すのは難しく、場合によっては死につながりかねない危険な療法、と思っているからです。
また、代替療法はお金がかかりすぎることが少なくありません。この映画でも、信吾さんが通帳を見ながらため息をついたり、親や親友にお金を借りたりするシーンが出てきますが、そこまでして代替療法に賭ける必要はないかと思います。
この映画を観にきた人を見てみると、若いカップルはいませんでした。夫婦で観にきているのも、老夫婦と思われる1組だけでした。たしかにカップルや夫婦で観るには重すぎる映画ですが、結婚を考えている若いカップルや夫婦にはぜひ観てほしい、と思いました。「夫婦はどうあるべきか」「家族愛とは」ということを考えさせてくれるいい映画だからです。そのため、この映画がDVD化されれば、妻とも観てみたいと思っています。