医師の転職支援・求人紹介を行うニューハンプシャーMCの医師専任シニアコンサルタントである中村正志氏は、このケースにこうコメントする。
「十分ありうる話です。大学病院勤務でバイトなしなら、年収はそのくらいでおかしくありませんし、美容外科の年収のボリュームゾーンは2000万~3000万円。もっともそこは自由診療下で行われる成果主義の世界で、下は700万円以下、上は5000万円以上と業界内格差もすごいですけどね」
よく「世間が思っているほど医師はおいしい職業ではない」という声も聞くが、実際はどうなのだろう。厚生労働省の「医療経済実態調査」は、2012年度の勤務医の平均年収を1506万円とはじき出している。だいたいそんなところなのか。
「医師の収入の説明は勤務医の場合でも複雑で難しいんです。研究か臨床か、国公立か民間か、東京か地方か、診療科は何かといった要素でずいぶん違う。バイトの入れ方でも年収は大きく変わります。さらに、医学博士を取ろうと思ったら4年間の大学院時代は、バイト収入しかない。医局に回ってくる求人で年に400万~500万円は稼げますが、学費が必要ですし、生活実感はビンボーです」(中村氏)
6年制の医学部を卒業して国家試験に合格、無事に医師免許を取得しても、その後に2年間の初期臨床研修を義務として受ける必要がある。希望する病院でいくつかの診療科を回りながら今後の進路を定めていく。この時代は月の基本給が25万~35万円ほど。時間外手当もたいていつくが、バイト禁止なので、裕福とはいえない。
最初に収入がくいと上がる可能性が出てくるのは、義務ではないがほとんどの人が受ける3~4年間の後期臨床研修から。大学病院や国公立の人気病院では将来自分が進みたい診療科を絞り、専門的な研修で学ぶ。年収は400万円がアベレージだ。
ところが民間病院や人気が低い国公立病院を選んだ場合、その段階から一人の医師として扱われ、年収も700万円ほどにアップする。研修プログラムが整っていない精神科などで、1000万円出す病院もある。
後期研修が終われば大学病院でも本格就職だ。選んだ診療科や職場の忙しさにもよるが、ここから多くの医師たちは通常勤務のほかに、外でのバイトを入れる。相場は時給1万円だ。週に2、3日のバイトで年に500万~600万円は稼げる。