あるときには、30代半ばの女性が「出会いがなかなかない」と言っているのを耳にした。彼女は大きな会社の受付をしていて、仕事上ではいろいろな人と話すという。

そこで、私は尋ねた。

「それでは、仕事を超えて、ある程度お互いの人柄がわかるくらい親しく話す男性は、1年に何人くらいですか?」

彼女は、少し考えて、「3人くらいです」と答えた。

「それでは、出会い、と言ってもムリですよね。世の中には様々な男性がいる。あなたはそのすべての男性を、たった3人のサンプリングで調査しようとしているようなものです! 視聴率の調査だって、数百世帯はやるのに!」

彼女の表情が、「あっ、そうか!」と、少し明るくなったように感じた。

人間は、「英語がしゃべれない」とか、「出会いがなかなかない」という問題があったとき、つい難しく考えてしまいがちである。その結果、あたかもそのような問題が、自分の人生の、解決できない宿命のように感じてしまう。

数字で考えてみることで、急に問題が、乾いた、即物的なことに思えてくる。「あっ、そうか!」と腑に落ちる。

現実から目をそらして体重計を避けていると、健康診断で驚きの数字を目にすることも。(写真=PIXTA)

そして、数字の問題ならば、その数を積み上げていったり、改善したりすることで、解決できるのではないかという勇気、希望が湧いてくるのだ。

数字は、自分自身の「ありのままの姿」を映し出す鏡でもある。

私は去年の8月から、10キロの減量に成功したが、すべては毎朝体重計に乗ることから始まった。「太っている」という事実に、数字を通して向き合うことから、何かが始まる。

たかが数字、されど数字。人生の様々を、数字にしてみることで変わること、進むことは、まだまだたくさんあると思う。

数字は、決して冷たくはない。むしろ、心に温かいのだ。

(写真=PIXTA)
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