「ワルの商談」は、柔と剛を使いこなす

このように、詐欺では相手の事情に合わせた形で、足し算、引き算など四則演算的な形で、話を進める。

引き算・割り算は、譲歩することで、「こちらは、これだけ引いたのだから、今度はあなたが引く番ですよ」と、無言の圧力をかける。すなわち「柔(じゅう)」の手法である。

それに対して、足し算、掛け算は攻めの手法である。どんどん攻めの材料をあげていき、相手を追い込んでいく。つまり、「剛(ごう)」の手立てだ。

考えてみれば、まっとうなビジネスの商談においても、取引先・顧客などとの力関係や状況によって、交渉方法は変化する。足し算となるのか引き算となるのか……どの四則演算を使えば、相手のOKが出やすいかを計算して話を展開していくだろう。

詐欺は100%違法行為だ。しかし、犯人たちはバカじゃない。知能をフル回転し、準備し、ワナをかける。

詐欺犯らは社会状況から本人を取り巻く状況に至るまで、じっくり話を聞き出しながら、どの四則演算で話を展開すれば、相手の心に響き、財布のひもを緩ませられるかを熟知しているのである。

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