[5]自己アピールをしているか

いくら高い価値を持っていても、それが他者から評価されなければ給与のアップには繋がらない。日本には謙虚であることを美徳とする文化があるので、自己アピールをする人は嫌われるように思えるが、本気で給与を上げようと思ったら、積極的な自己アピールは不可欠である。

私がリクルートに在籍していたとき、上司から叱られたことがあった。

「君はいい仕事をしているし、社内ではそれが評価されている。しかし、社外での評価が低い。これは君の自己アピールの仕方がなっていないからだ」

これをきっかけに、私は自己アピールの方法を意識的に考えるようになった。そして、いくつかの重要なポイントに気づいたのである。

まず、日本人の多くが自己アピールに尻込みしてしまうのは、自慢だと受け取られるのを恐れるからだということに気づいた。日本人は、自慢していると思われることが耐えられないのだ。そこで必要になるのが、自慢と自己アピールの切り分けだ。これがしっかりできていれば、自己アピールが恥ずかしいという感覚はなくなる。逆に言えば、「実はオレ、自慢しているんじゃないか」と自分自身で疑ってしまうから、恥ずかしくなってしまうのだ。

会議で新規企画の内容を議論することになったとしよう。「私は類似の企画で社長賞を獲りまして」と言うのは自慢。企画の内容を尋ねられて、「類似の企画を担当したことがあります。その際、問題となったのは~」と言うのは自慢ではない。つまり自慢とは、文脈と無関係な自己紹介のことなのだ。

これさえ押さえておけば、自己アピールに躊躇することはない。後は場数を踏んで熟達することだ。たとえば商談の最中、「過去に同じような案件で企画書をつくったことがあるので、今度お持ちします」というふうに、まずは小ネタで自分をアピールしていく。小さな自己アピールを積み重ねていくうち、ふと気づけば、自分の価値は正当に評価されるようになっている。