ここに今回のワールドカップ5週間前の合宿で、エディーからメンバーに発表された2枚のシートがある。
1枚目にはエディーが就任してから一貫して伝えてきた日本らしい超攻撃ラグビーを示す「JAPAN WAY」。2枚目にはワールドカップでのチームの目標「準々決勝、ベスト8」。そのためには「最低でも3勝」が必要。勝利する相手は、スコットランドまたは南アフリカ(いずれかに1勝)、サモア、アメリカ。
どうやって3勝するのか。それは「強み」を生かすこと。
まず「運動量で勝る」。リロード(立ち上がって体勢を整える)とリシェープ(攻撃の陣形を整える)をそれぞれの目標時間内にセットできる達成率を90%にする。そこに現状の数値も入れ、ギャップを強調。ランニングフィットネス(持久力)を高める。そして、「賢さで勝る」。
選手がやりきれる明確なメッセージ
「彼のメッセージは、とてもシンプルでクリア。だから皆にすぐ伝わる。エディーが3年半前に皆に伝えたメッセージは、『日本は最後まで走り勝たなくてはいけない』『セットプレーを強化しなければいけない』の2つ。今回、南アフリカ戦では最後の最後まで走り勝ち、セットプレーは過去最高の成功率でした」とエディーを就任時からそばで見てきた日本代表の岩渕健輔GMは評する。
メッセージがシンプルで揺るぎないからこそ、選手たちは最後までやり切ることができる。試合中グラウンドにいる選手たちの意識も自ずと統一されてくる。それが世界のトップチームを動かすエディー・ジョーンズの強さなのだ。