──ブラジルは競争激化。オーストラリアなど海外市場の展開は?

【磯崎】日本は優良市場だが、成長の観点からすれば難しい。キリンはいち早くオーストラリア、フィリピンなどに投資してきた。ビール需要が大きいブラジルには11年に投資し、翌年から成果が出た。しかし、現地企業が競争の仕方をわかっていなかった。ファミリービジネスから脱却させるためにも、今年8月に営業・マーケティングの専門家をCEOにスカウトした。就任して数週間で会社が様変わりしている。オーストラリアで苦戦しているのは乳製品だ。不採算の取引をやめることでコストダウンし、高採算の製品開発に注力する。

──次期中期計画を策定中だが。

【磯崎】まず不採算の事業はやらない。低収益ならばテコ入れし、高収益に特化していけば、自然とROEは向上する。企業買収についても売上高をかさ上げするだけならやらない。市場シェア80%のミャンマーはこれから競争が激化する。競争に耐えられるだけの商品力、マーケティング力をサポートする。我々は日本という“レッドオーシャン”の国で戦ってきた。メーンビジネスはビールだ。そこに経営資源を集中していく。

キリンホールディングス社長 磯崎功典
1953年、神奈川県生まれ。小田原高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、77年キリンビール入社。88年米コーネル大学ホテル経営学部に留学。99年キリンホテル開発運営の「ホップインアミング」総支配人。2004年比サンミゲル取締役、07年キリンHD経営企画部長などを経て、15年3月よりキリンHD社長兼キリン社長。
(國貞文隆=構成 小倉和徳=撮影)
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