「パートナー」になる3つの条件

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図5:顧客のパートナーとなるための条件

このように営業担当者の感情移入する姿勢が、成果を大きく左右する。どんなスキルアップのトレーニングに取り組んでも、この感情移入の姿勢を欠いていたら営業担当者の底上げなどできない。

感情移入はコミュニケーションの基盤である。感情移入が欠如している人は、顧客との会話が続かず、情報が取れなくなってしまう。これでは顧客の相談相手としてパートナーになることなどできない。いま、顧客はパートナーとしての営業担当者を求めているのに、パートナーとしての資質が欠けているとすれば、見捨てられてしまうのは当然だろう。

「顧客のパートナーになる」という言葉は、この10年ほどですっかり定着した。しかし、実際にはまったくうまくいっていない。営業担当者側の一方的な感情だからだ。パートナーになるには、まずは顧客から相談されたい相手として認知される必要がある。

当社では、「顧客のパートナー」を情報収集×価値提案×顧客のメリット(利益)と定義している(図5)。式が掛け算になっていることに注意してほしい。この3つのうち、どれかひとつの項目がゼロになると、結果はゼロになってしまうということだ。

パートナーになるための最初の入り口になるのが、顧客の情報を収集し、顧客をよく知ることである。その意味でも、感情移入する姿勢を持っていない営業担当者が顧客から選ばれず、売れなくなるのは必然なのだ。

(構成=宮内 健 撮影=鷹尾 茂 ※図版は取材をもとに編集部作成)