解決策は、妻が前のように料理や掃除をきちんとすること……ではない。妻に仕事も家事も、と押し付けたら、キレられるのが関の山だ。そうではなく、これを機に家事や育児は夫婦で分担をする。妻が疲れているときには、夫が代わりに食事の支度や掃除をしてあげるのが理想だが、それが無理なら、保育園のお迎えや子供の入浴、食後の片付けなどをしたり、週末に子供と公園に行って遊んでやるだけでもいい。妻は仕事と家事の両立をさせながらもストレスをため込まずに済み、無駄な出費も自然と抑えられていくはずだ。

このように家計の見直しをすることで、家族のあり方を見直す機会にもなる。家計をコントロールするには、夫婦や家族のコミュニケーションが欠かせない。今、そして未来の生活についてお互いに意見を交わし、時には歩み寄る努力をする。その心のつながりも家計の改善には欠かせないのだ。

町田さんについて言えば、夫婦で話し合った結果、子供の体操教室をやめさせることにした。2歳のわが子には体操教室に通わせるよりも、家族と一緒に過ごす時間を増やすほうが大切だと考えたからだ。もちろん、教室代がまるまる浮く。

ほかにも被服費などを少しずつ削減する一方で、あえて増やした費目もある。それは生命保険料だ。

子供の誕生から2年の町田さんは、簡易な保険には入っていたものの、現状では保障が心許なかった。低めの収入帯では、保険が後回しにされることは珍しくない。しかし、収入および貯蓄に不安がある人こそ、生命保険にはきちんと入るべきというのが私の考えだ。たとえ貯蓄がままならなくても、保険に入っていれば家族を路頭に迷わせずに済むからである。

こうした家計の改革で、毎月4万7000円前後の蓄えが可能に。貯蓄額の目安である月収の6分の1が容易に達成できたのである。

▼節約のポイント

[1]夫の家事協力と工夫で食費を減らす
[2]本当に必要か。子供の習い事の見直し
[3]万が一を考え、保障が手厚い保険を追加

横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント。マイエフピー代表取締役。ファイナンシャルプランナー。司法書士事務所勤務を経て、同社設立。個別の相談・指導では、お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムを生かし、これまで7000人以上の赤字家計を再生した。著書は累計57万部を超える『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズを代表作とし、著作累計86万部となる。
(上島寿子=構成 小原孝博=撮影)
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