坂本家●60代/年収250万円台
[夫]66歳 元中堅企業部長職[妻]60歳 専業主婦[子ども]長女(既婚・近くに住む)37歳/長男(会社員・同居)35歳
[年収]216万円(手取り)[月収]18万円(手取り)[ボーナス]なし
[夫]66歳 元中堅企業部長職[妻]60歳 専業主婦[子ども]長女(既婚・近くに住む)37歳/長男(会社員・同居)35歳
[年収]216万円(手取り)[月収]18万円(手取り)[ボーナス]なし
家計の見直し相談センター代表 藤川太先生のアドバイス
定年退職を迎えると、その後に待っているのは年金生活だ。この年金の受給額には世代格差があり、いくら受け取れるかは不透明。
事例の坂本さんの場合は、夫だけで月々18万円で、この額でも比較的高額なほうだ。家のローンを払い終えてさえいれば、夫婦2人で暮らしていける金額である。
だが、老後には思わぬ伏兵が潜んでいる。それは親のスネを齧り続ける子供だ。晩婚化が進む昨今、いつまでも親元を離れない子供は少なくない。まして、高学歴でも高所得を得られるとは限らないこの時代、30歳を過ぎた子供が親のお金をあてにする傾向は高まっているのである。
坂本さん宅も息子は独身のパラサイト。結婚して子供のいる娘も、実家近くに家を購入している。共働きのため、保育園の送迎など、孫の世話は日常茶飯事。金銭的な支援もしている。それにより家計は赤字が常態化。退職金を切り崩してどうにか凌いでいるものの、貯金が底をつくのは時間の問題だ。そうなったときに、パラサイトの子供が面倒を見てくれるだろうか。
この場合、問題は収入の低さなので改善ポイントは少ない。退職金の取り崩し傾向が続くのであれば、妻の年金給付が始まるまで計画的に支出を減らしていくしかないだろう。息子には生活費を入れさせ、娘には子育ての手助けはしても金銭的な援助は断つべきだ。そうすれば、家計の赤字は解消される。
もちろん、できるのならパートでもいいので働きに出ることだ。年収100万円でも働けば、取り崩しは防げる。
これ以上の節約は、無駄を省くというよりも生活から余裕を奪っていく。チャンスがあって体力的に問題がなければ働くことを検討したい。
藤川太(ふじかわ・ふとし)
家計の見直し相談センター代表。ファイナンシャルプランナー、CFP認定者。宅地建物取引主任者。1968年、山口県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、大手自動車メーカー勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。累計2万世帯超の相談実績を誇る。著書に『やっぱりサラリーマンは2度破産する』『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』など多数。
家計の見直し相談センター代表。ファイナンシャルプランナー、CFP認定者。宅地建物取引主任者。1968年、山口県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、大手自動車メーカー勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。累計2万世帯超の相談実績を誇る。著書に『やっぱりサラリーマンは2度破産する』『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』など多数。
(上島寿子=構成 小原孝博=撮影)