HCが描く未来図
ジョーンズHCは2003年W杯では母国オーストラリア代表を率いて準優勝、07年W杯では南アフリカ代表のスタッフとして優勝を経験した。W杯でのチーム作りは熟知している。ここから日本代表の戦力が大幅アップすることはあり得ない。ただチームがひとつになることで、チームがぐんと強くなることはありうる。
さて、ジョーンズHCの描くW杯ストーリーは何だろう。そう聞けば、「頭はいろんなストーリーでいっぱいです」と笑った。
「ワールドカップは大きくてパワフルなチームと対戦します。運動量と賢さで勝ることが必要です。そして最後に必要となってくるのが、相手よりも情熱を持って戦うことです。このジャパンほど努力してきたチームは他にはない。それは事実です。あとはしっかりとフィールドで発揮する自信を持つだけです」
そこでひと呼吸し、小さく息を吐いた。日本の初戦は9月19日の南アフリカ戦。世界ランク2位の強豪国である。
「たぶん小雨が降っているでしょう。イングランドはつねに雨が降っているので……。でも小雨の中でもジャパンは準備万端、チャレンジします。そして……」
ジョーンズHCは続くコトバを飲み込んだ。きっと、ジョーンズHCの頭には、死闘の末、喜びを爆発させる選手たちの姿が映っているのかもしれない。