一方で、日本国内にそこまでの緊張感が生まれているとはいえない。今後は会社の枠を超えてグループ内のどの会社に配置されても実力を最大限発揮するような人材が必要とされ、こうした人材をグループ内で発掘、育成するための仕組みとして「人材戦略会議」を設置している。既にグループ横断の人材交流を積極化しており、今年4月の人事異動では、本社から新事業と海外事業にそれぞれ20人を投入し、グループ内での異動も50人規模で行っただけではなく、この7月からは、イギリス、インド、マレーシアなど9カ国から約20人の外国人を国内の部署で受入れる「Exchange Program」を実施している。
プロ人材の積極的な採用
今後はグループ内での育成が困難もしくは育成に時間を要するような卓越した能力を持つ人材は、プロフェッショナル人材として中途採用、積極登用していく。海外子会社の経営人材もそのひとつで、先日新たに任命したキャノピアスの新CEOもグローバル競争を勝ち抜いてきた特異な能力を評価したものだ。
また、今年5月にジュネーブ協会の年次総会に出席した際には、世界中でデジタルテクノロジーに精通した人材が求められていることを痛感した。ビッグデータを活用したビジネスモデルの構築、それに基づいた新商品・サービスの開発が将来の競争優位を大きく左右する時代であるからだ。
真のサービス産業として世界で伍していく保険グループを目指すSOMPOホールディングスにとって、将来の事業ポートフォリオを視野に入れた人材育成や発掘が急務となっている。その実現のため、私はいつも「自分の市場価値を客観的に見直して、スキルアップを目指してほしい」と社内で訴えている。
1956年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、安田火災海上保険入社。2010年に損害保険ジャパン社長に就任、2014年9月より損保ジャパン日本興亜会長。12年より日本興亜損保との持ち株会社NKSJホールディングス(現・損保ジャパン日本興亜ホールディングス)社長を兼任。