がんの知識を増やすより、やるべきことはある
家族ががんになると、がんについていろいろと調べる人は少なくありません。なかにはそれが家族の義務だと思っている人もいます。これは家族愛からくることで、否定されることではありませんが、がんについては素人の知識よりも、まず主治医を信じるべきだと思っています。信じることができないのなら、ほかの病院で診てもらうべきでしょう。下手をすればがんは、死に至る病だからです。
家族の者ががんになると、何かと心配なのはわかりますが、素人判断であれこれいっても、治療を受けている側からすれば、混乱するばかりです。これは私も犯してしまった失敗です。下手をすれば闇雲に健康食品をいくつも買ってしまい、散財につながりかねません。がんについてまったく調べないのはダメだと思いますが、まずは主治医を信頼し、必要に応じて、がんのことを調べる程度でいいのではないか、と個人的には思っています。
私の場合、がんの知識を増やすより、少しでも多くの家事を手伝うようにしています。家事が溜まっているときは、通院に付き添うのをやめ、家事を優先することもあるくらいです。家事をこなすのは何かと大変ですが、闘病している人ならなおさらです。だからこそ、負担の軽減になると思うのです。家事以外では、どういうふうに気遣えば妻がラクになるのか、よろこんでくれるのかを考えるようにしています。
なんだかエラそうなことを書いていますが、家事を手伝うことも、妻を気遣うことも難しいものです。私の場合、まだまだですが、無理はしないようにしています。無理をして続かなくなったり、仕事に支障を来したりしない程度にがんばっているのです。がん患者にとっても、家族の者にとっても、長期戦でがんと対峙するには、かんばり過ぎないことが大切だと思っています。