「1面」があなたの関心の幅を広げる
例えば、今朝(3月9日)の日経新聞のトップ記事は「部品供給、復旧すばやく」というもので、トヨタ自動車が災害発生時に、自動車生産に必要な部品の供給を確保するために、10次下請けまで含め1万3000社を対象に情報網を構築し、サプライチェーンを確保しようというものです。災害を受けた工場などの代替の供給者を素早く確保し、自動車生産を滞らせないというものです。
そして、1面トップ記事だけでなく、2面目以降も、数行で内容をまとめた「リード文」が出ている記事は、国際面でも金融面でもリード文だけでも良いから毎日読んでください。1面トップ記事も忙しいときにはリード文(リード文がない場合には、最初の数段落)だけでも読むことを続けると、どんどん関心の幅が広がっていきます。
▼見ているのに見えない、残念な人
人は、関心の無いものは、普段見ているものでも、何万回見ても見えないのです。(皆さんは「7-ELEVEn」のロゴの最後の「n」が小文字なのに気づいていましたか? 関心の無いものは何回見ても見えないのです *編集部注:本コラムの最後で「n」の謎を解説)。関心の幅を広げる意味でも、訓練だと思って、1面のトップ記事やリード文のある大きな記事は、リード文だけでもいいので毎日読んでほしいのです。それを数カ月続けていると、新聞の「読め方」が変わってくるのです。
そして、もうひとつは深読みすることです。
先ほどの、トヨタの記事でいうと、私はいくつかのことを考えました。ひとつは「円安」です。円安がこのところ進みましたが、輸出のための国内生産でも、円安のおかげで採算をとりやすくなっており、生産の国内回帰が進む可能性があり、そのためにも、部品メーカーとの連携を強化したいと考えているのです。そういう点では、さらなる円安をトヨタは予想しているのかもしれません。中国経済の減速傾向も影響しているでしょう。
さらには、トヨタが関係の強い1次、2次下請けのみならず、10次下請けまでをも巻き込んだ情報網を構築しようとしていることは、それらまで含んでサプライチェーンをコントロールしたいということの強い意欲とも受け取れます。
これらの深読みは、これまで読んできた他の記事との関連づけでできることです。これも毎日の積み重ねの問題です。いずれにしても、新聞を読むことは、関心の幅を広げ、深読みする訓練だと思って読み続けてくださいね。