5. 途方もない理想を語る
「妄想癖」を刺激して気持ちよくさせる
精神分析では人間を「シゾフレニア気質」と「メランコリア気質」に分類します。前者はこだわりが強く、
「自分は自分、他人は他人」と考えていて、自分の信念を認めてもらいたい。褒められて伸びるタイプです。後者は他人の目を気にしがちで、自己主張が薄い。「こうしたほうがいい」と尻を叩かれることでモチベーションがあがりやすいタイプです。
私個人の印象としては、日本の中高年男性はシゾフレニア気質が多いように思います。ということは、ほとんどの上司にはヨイショが有効なのですが、現実に「ハンサムですねえ」「あのときのゴルフ、いいプレーでした」といった歯の浮くような褒め言葉は、下心を見透かされて、ほとんど効果がありません。
そこで注目したいのが男性特有の「理想優位性」です。「もし宝くじが当たったら、どうするか」といった質問に対し、女性は「そんなことありえない」といってすぐに醒めてしまいます。一方、男性は現実に戻ることなく、自分の勝手な願望や想像を延々と膨らませる。女性に「もしつき合うことになったら、私たちどうなるかな」などと言われると、ころっと騙されてしまう男性が多いのはこのためです。
だからヨイショをするときには、「あのゴルフのプレーはよかった」と現実にあった出来事を褒めるのではなく、「もし社長になったら、何から手をつけますか」「新しく事業を立ち上げるなら、誰に声をかけますか」などと、相手の想像力を刺激するような言葉をかけるといいでしょう。男性には、そうやって気持ちよく理想を語らせてくれる人物をパートナーに選ぶ傾向があります。
自分を大きく見せるためにハッタリを使うと、嘘つきと言われかねません。それよりも相手に空想のハッタリを促すことです。そうすれば、相手に満足感を与えることになり、結果として、実力以上の評価を受けることになります。