経験を理論化してくれた
大塚ホールディングス傘下の名門・大塚化学。12年6月に社長となったのが44歳の原島丈治である。
原島は海外営業の経験が長く、とくに中国では現地法人の設立、工場建設といった事業立ち上げを手がけた実力者。だが、直前の役職は海外事業本部海外統括部部長であり、役員経験はない。
原島自身、就任を要請され「たいへん戸惑いました」と謙虚に語る。
「私はとくに社長になるための準備をしてきたわけではありません。ですから、みなさんのお力を借りるしかないと思っています」
しかし準備を何もしてこなかったわけではない。大阪本社の海外統括部部長補佐時代の09年10月から1年間、大前経営塾で勉強を重ねていた(16期)。会社から選抜され受講を命じられたのだ。
内外への出張が多く、まとまった時間をとれない原島のような第一線のビジネスマンは、自分の勉強不足に気づいてもなかなか本格的な学習には踏み出せない。しかし、ネットを活用した遠隔学習なら時間的・空間的制約が少なく、効果的な学習を進めることができる。
そこで最近は、大前経営塾を自社の研修プログラムに組み込む企業が増えている。たとえば大塚化学は、グループから例年数名の幹部候補生を大前経営塾へ“派遣”しているのだ。