──サーベラスと意思疎通がうまくいかなかった原因は。
【後藤】西武HDの上場はだれの目にもフェアであるといわれるように取り組んできた。サーベラスにもルールを徹底して守ってきていると説明してきたが、結果としてはコミュニケーションギャップが生まれてしまった。
上場についてはファインバーグCEOと何度も電話などで会談し、今後はしっかりコミュニケーションをとっていこうと確認して上場にいたった。彼らは当時の株価の問題で株を放出しなかったが、経営に関与しないし、今後も西武HDをバックアップする確約を得ています。
──サーベラスが株を売却する場合にはどう対応するつもりか。
【後藤】サーベラスが株を売却するかどうかは、彼らの問題ですから、私がコメントする立場にはありません。ただ私はこれからも企業価値、株主価値をさらに高めていくことは、最大限努力していくつもりです。
──ライバルの東急電鉄グループや阪急電鉄グループは鉄道の周辺開発を主眼に置いた戦略を展開してきたが、西武HDはどうか。
【後藤】たしかに東急であれば東急沿線、阪急であれば阪急沿線に住宅地や商業施設、娯楽施設を展開しているわけですが、西武グループは北海道から九州まで、山手線の2倍程度の土地を持っています。だから、これを有効活用していくということが最大の課題だと思います。
不動産の有効活用の仕方もその場所その場所で違っている。西武鉄道沿線でも池袋地区と秩父地区では違うし、プリンスホテルも北海道から九州まであり、軽井沢や箱根のような一大リゾートもあればそうでないところではやり方は違う。このほかメガソーラーというかたちで太陽光発電事業をスタートさせているところもある。われわれは例えば鉄道沿線を7つのエリアに区分けして考えるなど、エリア特性に合った格好で戦略を展開している。
なかには、水源地という観点から、これはもう私は国益そのものだと思っているけれども、水源地を管理しているところもある。そうした地域は森林機能を整備し、間伐もやりながら、水源地をしっかりと守っている。全国的に展開している土地をしっかりと有効活用し、今後の日本の100年を見据え、国益も踏まえたうえで日本人の国としての、あるいは日本人一人ひとりの利益を守るという信念を持ってしっかりやっていかなければならないと思います。