LiveShell PRO●PC不要でHD映像を配信できる、プロ仕様の小型ライブ映像配信機。 52380円(税別)

「SNSが多いのですが、ライブ配信のような小さな趣味のコミュニティがインターネット上にあります。そこは世界から参加者が集まり、面白い製品が登場すると話題になります。一方で、そこで話題になったグローバル・ニッチな製品をいち早く仕入れて売るのをビジネスにしている輸入代理店もいて、エコシステムが回るようになっているんです」

同社のモノづくりの発想は、生活上の不便や市場の隙間を見て「こんなモノがあったらいいな」というところから生まれる。小さなメーカーにこうしたモノづくりが可能になったのは、ソフトウェアや部品のコストが劇的に下がったことが大きい。

以前は一つハードをつくるのに数億円かかったものが、現在は数千万円の前半でできるようになったという。その背景には最低発注数量が下がったことや、オープンソースのソフトウェアの普及、部品のモジュール化があったと岩佐氏は指摘する。これらの要因はイノベーションのハードルも下げている、とも。

「たとえばBluetoothを使った機械をゼロからつくると非常に大変ですが、Bluetoothの通信モジュールを買ってくれば面倒くさい設計が不要になり、値段も1個数百円、最少発注数量100個で買えます。こうしたさまざまなモジュールがいま、非常に良くなって山ほど売られるようになったので、それらを自在に組み合わせれば世の中にないモノを生み出せるようになっているんです」

【Cerevo創業者●岩佐琢磨の軌跡】

中学~高校時代
 コンピュータにハマる。インターネットに触れ、衝撃を受ける
大学時代 WEBサイト制作のバイト経験から、エンジニアの才能がないことに気付き、商品企画を目指す
2002~2003年 家電メーカーに就職活動をする。面接で「ネット家電の商品企画だけをやりたい」と主張し続けたところ、パナソニックに受け入れられる

↓Turning Point↓
2006年 「ゼロを1にする」モノづくりは大企業にいてはできないと思い始める


2007年 起業を決意。パナソニックを退職
2008年 Cerevo設立。ニッチな製品が海外のマニアにもヒット
現在 世界21カ国で販売。「LiveShell」シリーズは累計約1万台。事業規模も急拡大中
(澁谷高晴=撮影)
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