「新幹線」で高まる老後移住の可能性
これから三大都市圏を急激な高齢化が襲う。介護を見据えた老後を考えれば、施設能力に余裕のある地方への移住は魅力的な選択肢であり、富山市はその有力な候補地になる。
「ぜひ移住先として富山を検討してほしい。ただ老後移住を本格的に誘致するには、『住所地特例』の見直しが前提になる。国にはぜひこの問題を考えてほしい」(森市長)
住所地特例とは、国民健康保険や介護保険などの加入者が別の自治体の特養ホームなどに移った場合、元の自治体が引き続き保険費用を負担する制度。転居後の自治体の負担を考慮したものだが、75歳になる前に転居した加入者が、移住先で75歳を迎えて「後期高齢者医療制度」に移った場合、現行の制度では住所地特例が認められず、移住先の負担が重くなってしまう。
森市長は「まずは2つ目の生活拠点として考えてほしい」と売り込む。
「これから複数の生活拠点をもつ『マルチハビテーション』の時代が来る。北陸新幹線の開業で、東京からは2時間半。歩いて暮らせるおしゃれな街を活用してほしい」
森雅志
1952年、富山市生まれ。中央大学法学部卒業。富山県議会議員を経て、2002年富山市長に。05年市町村合併で発足した新・富山市長選挙にも当選。現在3期目。