真剣な話し合いで深まる夫婦の絆

軽症のセックスレスだと、これでうまくいく場合もありますが、10年もない夫婦の場合、互いの触れあい自体が少なくなっていることもあるので、スキンシップをとることから始める必要があります。ネクタイを締めてもらったり、耳そうじやマッサージをしあったり、手をつないで歩いたり……。

なかにはセックスを話題にしにくい関係に陥っているご夫婦もおられます。そういう場合は恋愛映画を一緒に観るというのはどうでしょう。去年は『ノルウェイの森』をお勧めしました。セックスシーンが多いので、観終わったあとセックスを話題にしないほうが不自然ですから。セックスに関する雑誌や本を、何げなく部屋に置いておくのもいいかもしれません。ともかく2人の会話の中に「セックス」という言葉を出しやすいムードづくりを心がけてください。

難しいのは、奥様がセックスにまったく興味がない場合です。カウンセリングでは、エロチックな気持ちを思い出してもらうために、レディースコミックやエッチな映画を使う場合があります。

うまくセックスにたどり着けそうになったら、注意してほしいことがあります。一つは年とともに女性は濡れにくくなっているので、潤いジェルを使ってみること。それと体形も変化していますから、少々暗めの照明にしてあげてください。あまり体を見回さず、顔に目を向けるのがポイントです。

それでも難しいご夫婦は、専門家のカウンセリングを受ければ、何が問題になっているかがわかって、意外と早く解決する場合もあります。いずれにしても2人が向き合わないと解決には至りません。話し合いの中で、「あなたは、私が授乳中に浮気したから嫌になった」などと、昔のことを蒸し返され険悪になって、夫婦の危機に直面するかもしれない。夫婦の真価が問われるときです。でも、セックスレスを解消するために夫婦が真剣に話し合うことで、より深い絆が生まれるはずです。

女性産婦人科医 
宋 美玄

1976年生まれ。2001年大阪大学医学部卒業。セックスなどについて積極的な啓蒙活動を行う。
(構成=西所正道 撮影=小倉和徳)
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