トップを狙うマツダ「デミオ」
一気に燃費性能でトップクラスに踊り出た感のあるトヨタだが、エンジンの熱効率や変速機の伝達効率を巡るメーカー間の競争は激化する一方。ライバルも手をこまぬいているわけではない。
トヨタとスズキのバトルを横目に、トップ獲りを虎視眈々と狙っているのはマツダだ。今年の初秋にコンパクトモデル「デミオ」をフルモデルチェンジする見通しだが、その主力エンジンは排気量1.5リットルのターボディーゼルエンジンだ。
この次期デミオのプロトタイプ(生産型の試作車)を短時間テストドライブする機会があったが、新開発の1.5リットルディーゼルの完成度は素晴らしいものであった。マツダは先行してSUV「CX-5」や上級セダン「アテンザ」などに、より排気量の大きな2.2リットルディーゼルを大々的に搭載して注目を集めた。その2.2リットルディーゼルと比較しても、1.5リットルディーゼルは見劣りするようなものではなかった。
とりわけ優れていたのは、ディーゼルの弱点とされる騒音・振動がきわめて小さかったこと。2.2リットルも優秀ではあるのだが、エンジンの排気量が小さいぶん、みっちりと回るフィールは圧倒的に1.5リットルが良好。燃費については、もともとガソリンに比べてピーク熱効率が高く、また低速から高速まで広い範囲で高い熱効率が維持されるというディーゼルの特性上、相当良い数字を期待できそうである。このディーゼルモデルは発売前からユーザーの関心がかなり高く、今年の“エコカー秋の陣”の台風の目玉となることは確実な情勢だ。