50代の管理職がLGBTを理解すれば、会社の業績が上がる
グッドには以前から外資系企業より講演依頼が多く寄せられていたが、最近では日本国内の企業からも増えているという。LGBTへの理解が広がりつつあるように見えるが、まだまだ壁は多い。
「正直申し上げて、一番のネックとなるのは50代くらいのマネジメント層の男性なんです。企業の舵取りをしているこの層は、残念ながらLGBTに対して理解が低い。さらに年齢が上がればなおさらです。その点、女性は女性であるだけで弱者だった時代があり、今なおマイノリティであることを拭えない分、多様性に対する受容度もあるのですが、現状、日本の企業トップはほとんどが男性。今、LGBTをサポートすることを表明してくださる企業の多くは、管理職層のLGBTに対する意識が高まってトップダウン型で支援を決定したのではなく、現場で意義を感じている担当者や当事者、若手社員の意識の高まりによるボトムアップ型だと思っています」(松中氏)
ところで、LGBTへの理解が深い企業にはどのような狙いがあるのか。
「一番はリテンション。つまり人材流出を避ける、優秀な人材を呼び込むという狙いです。また、社員の働き方の満足度を上げて業務効率を上げるための企業の施策でもあります。実際、欧米ではカミングアウトして働いている人のほうが、カミングアウトしてない人より仕事の効率は上がっているといったデータもあります。特に人材流動性の激しい業界において、当事者は働きやすいところに流れますから、企業にとってLGBTに関して鈍感であることは重大なリスクといえるのです」(松中氏)
さらにLGBTへのサポートは、当事者以外にも訴求効果がある。
「LGBTにフレンドリーな企業=女性や障害者やそのほかのマイノリティにも優しい、というイメージを人々は抱いています。それは人材確保だけでなく、商品などもっと広い範囲のイメージアップにも繋がる。従来は、理解不足のためLGBTという言葉自体がネガティブに捉えられる、というリスク管理が働いてしまっていたのかもしれませんが、今後は、むしろLGBTにフレンドリーでないということがネガティブになる、という時代にシフトしていくと思います」(松中氏)