そうなると、公的年金に期待せざるをえなくなる。退職後の生活資金に不安があると考えている人は56.8%。一方で年金にある程度以上期待している人が、全体の74.6%もいる(図2)。しかし公的年金の財政事情は、思ったよりも早い時期に、今以上に厳しい状況に追い込まれると予測される。
一番の理由は、人口構成の変化である。65歳以上の退職世代に比べて、15~64歳の世代の人口比率が、今後どんどん低下していく。2020年には、この比率が2を割り込むだろう。つまり、65歳以上の高齢者1人を、2人よりも少ない現役世代で支えなければならない。20年といえば、残り11年。1949年生まれの団塊世代が71歳になったとき、このような事態に直面することになる。
現役世代は15歳からカウントされているが、今は15歳から働く人はほとんどいない。そのうえ、現役世代には専業主婦も含まれるため、実質的には現役世代1人で、高齢者1人を支えるくらいになる。
となると最後の砦は、現役時代にどれだけ老後の準備ができるかということだ。調査によると、退職後の準備に満足しているかという問いに対して、満足していると答えた人はわずか15.8%。さらに退職後の準備について、56.2%もの人が、もっと勉強すべきだったと後悔している(図3)。
後悔先に立たず。しかし、今、50歳の人であれば、退職するまで10年という時間が残されている。現実を見つめ、問題点を把握し、少しでも早く準備を進める必要がある。まず、老後の生活費について考えてみよう。