時間を支配されて働くのはしんどい

図を拡大
辻本社長のある1日

私個人の話をすれば、ルーズに時間を使うのが好きではありません。ですから早く出社し、夕方には帰ります。

朝は8時に出社。お昼は秘書にサラダとインスタントのみそ汁を買ってきてもらい食べながら仕事しています。会社を出るのは5時半か6時ごろ。その後はジムや会合に行ったり、子供と過ごすために早めに帰宅します。

早く帰るのはだらだら仕事したくないからですが、私が早く帰ると社員も早く帰る(笑)。社長が遅くまで会社にいると、心理的に、社員はそれより早く帰りづらいでしょう。また、社長が5時過ぎに帰るとなると、部下も早めに稟議を上げたり報告しなければいけません。遅くなると後回しにされてしまいますから、社員の行動も自然に前倒しになる。社長が早く帰れば社員のスピートアップにつながります。

急を要する報告や相談があれば、夜ではなく朝の始業前や昼のランチの時間に来てもらいたい。私が昼に外に出ないのは、そういう意味もあります。

スケジュールは自分で決めています。人に管理を任せると無駄が生じやすい。出張のときも飛行機や食事の時間を自分で計画します。これは週末も同じです。なんとなく時間が過ぎていくのはもったいないので、ボーッとするならボーッとする時間をきちんと決めて、予定どおりに過ごすようにしています。

自分で計画を立てて管理するのは大変そうと言われることもあります。でも時間を人に支配されて働くのはしんどいでしょう。同じ仕事をするなら能動的に楽しんだほうがいい。そのためにも自分で時間をコントロールするという意識が必要だと思います。

カプコン社長 辻本春弘
1964年、大阪府生まれ。87年、大阪商業大学商経学部卒業。在学中よりアルバイトとしてカプコンで働き機器修理などを行う。同年、カプコンに入社し、アミューズメント施設運営事業の立ち上げに参加。97年、取締役に就任し家庭用ゲームソフト事業に取り組む。常務、専務などを経て、2007年より現職。
(村上 敬=構成 小原孝博=撮影)
関連記事
なぜ、モンハンはゲームオタク以外も熱狂するのか
「アマゾン」の1人勝ちはなぜ起こるのか
1兆5455億円 -伸びるガンホー、落日の任天堂を抜く
「ガンダムの経済学」なぜ不況下で最高益なのか?
世界攻略のカギは「質のいい非常識」にあり -DeNA創業者 南場智子氏