とはいえ、話をする際の基本のように言われる「相手の目をじっと見て話す」という状態は、見つめられすぎると思いのほか居心地の悪いものです。実際、自己主張の激しい、押し出しの強い性格だと思われてしまうようです。そこで、普通に話すときはほんの少し目線を外すのですが、自然に見えるのは相手の肩のラインまで。ネクタイの結び目、という表現もあります。そのラインであれば、「だいたい顔を見ている」ように映り、失礼にはなりません。また、何かを考えて視線が泳ぎそうになっても、肩のラインでグッと踏みとどまれば、焦りを悟られることも少ないのです。
商談をするとき、説明の最中は書類や商品に視線を外し、「いかがでしょうか」とアピールするポイントではグイッと相手の表情、目を見ます。視線を合わせるタイミングと外すタイミングでメリハリをつければ、「目で語る」ことができるのです。
視線の動きをコントロールできるようになれば、話していて「感じがいいな」という印象になり、商談中に「この提案に自信があるのだな」と思わせることもできます。特に、目の印象が強い人であるならば、なおさら心をこめて相手に目線を送り、心にコンタクトしていきましょう。
日本一のプロ秘書が教える「一流のおシゴト」
視線をコントロールして、心にコンタクトする
中村由美
コンサルタント会社の社長秘書を経た後、当時まだ100店舗の中堅企業だった株式会社壱番屋に入社。秘書の経験を買われ、社長秘書に任命される。急成長の壱番屋において創業者・宗次徳二氏をはじめ、3代の社長に仕え、トップの側で上場も経験する。中小企業の秘書実務と上場企業の秘書実務の両方を知る数少ない人物。日本秘書協会(元)理事、ベスト・セクレタリー、日本秘書クラブ東海支部(元)役員、秘書技能指導者認定、サービス接遇指導者認定。