そしてJALの企業理念を、京セラと同様に「全社員の物心両面の幸福を追求する」としました。それを見ておられた支援機構の弁護士などから「JALの企業理念は、社員の物心両面の幸せを追求するだけというのはおかしいのではないでしょうか。社員だけが幸せになるという理念は、会社のエゴそのものではありませんか」との指摘を受けました。
そこで私は「社員を幸せにしようという会社であれば、社員はみな自分の会社だと思って一生懸命努力をする。資本主義社会では株主価値を最大にすることが企業の目的だといわれるが、社員が喜んで仕事をし立派な業績を挙げれば、株主価値は上がる。社員すら幸せにできないで、会社がうまく運営できるわけがない」と説きました。
京セラは、私が創業して以来53年間ただの1度も赤字を出していません。さらに、アメリカで上場した際にIRのため、京セラの幹部が金融市場の本場ニューヨークへ行き「わが社の企業理念は全従業員を幸せにすることだ」と説明していますが、誰ひとり文句を言う人はいませんでした。
従業員を大切にし、世のため人のために尽くすことが経営者として大事なことだと、アメリカの金融関係者も理解しているのです。