調査によると、こうした経営介入は、標的企業を他社に買収させた場合にのみ株主にとっての価値を生み出していた。買収を促すことができた場合、投資家はときに40%もの割増利益を手にしていたのだ。しかし、買い手を見つけられなかった場合、その会社の18カ月間の株価は、概してマーケットを上回っていない。失敗例の中には、株主が一方的な戦略改善を企業に押しつけたり、取締役会に議席を獲得しているケースも含まれている。

たとえばパイレート・キャピタルは、ジェームズ・リバー・コールの株式の7.9%を取得、05年に株主価値を増大させるための「新戦略」を模索するため、投資銀行とコンサルタント契約を結ばせた。が、その後ジェームズ・リバーの株価は75%近く下落。結局、ファンドは06年末に持ち株比率を5%以下に減らすことになった。パイレート・キャピタルがジェームズ・リバーの取締役会で3議席も獲得していたにもかかわらず株価は下落したのだ。

この結果は、驚くにはあたらないはずだ。“もの言う株主”は投資家であって経営者ではない。ヘッジファンドの真の能力は、過小評価されている資産を見つけることであって、その状態を正すことではない。標的企業を買収しようとする企業が現れなければ、もの言う株主は、その企業の経営のために必要な知識もさしてないまま、株だけを大量に抱えて困り果てるだろう。

もちろん、ヘッジファンドの要求を頭から無視するべきだと言っているのではない。標的にされた企業の経営陣は、同意しがたい要求にしぶしぶ応じるか、それを拒否してカネがらみの泥沼の争いをするかという二者択一に直面する。場合によっては、何らかのかたちで譲歩することが最も賢明な選択かもしれない。

さらに経営陣は、ヘッジファンドは株価が期待値より低迷しているときにやってくるということを忘れてはならない。その際、業績が期待を下回った理由や、株価が安値で取引されているのはなぜかといったことを、きちんと伝えることができない場合は、もの言う株主との対決を覚悟することになるだろう。そして、会社の支配権そのものが移転するかもしれない。

(ロビン・グリーンウッド、マイケル・ショア=文)