ビジネスホテルがそれぞれの戦略で抗争を繰り広げる傍らで、予約サイトも熾烈な競争のまっただ中にある。
ホテル予約サイト「じゃらんnet」を運用するリクルートライフスタイルの営業部長・山田英樹は自身の強みをこう語る。
「『じゃらん』はもともと雑誌から出発しました。レジャー志向ですから、ホテルさんからすれば、ビジネスユース以外の顧客を連れてきてくれることになります。ネットで予約する際に、ちょっと調べてみると、あ、安いホテルがあるじゃん、と。楽天さんはビジネスユーザーから始まり、レジャーへの進出を計画しているようです。お客様から見れば、どこの予約サイトにしても登録されている件数にあまり大きな偏りはありませんので、そうなってくると目指すべきはボリュームよりも特色のあるサイトづくりですね。ネットは望んでいるものが決まっているときは一瞬で検索できてしまいますが、新しい、知らなかったことを見つけるのにはあまり適していません。そういった需要喚起、ご提案にはやはり紙媒体が適しているんです。私どもには紙媒体がありますから、『じゃらん』とじゃらんnet、この両者をいかに組み合わせて消費者に訴えかけていくのかということがキーになっていく」
一方のホテル予約最大手・楽天トラベルは、IT企業としての出自を最大限に活用しようとしている。
「他社との差別化のため、いかににぎやかで楽しいコンテンツをつくるかということを考えています。ただ価格がわかって、写真が載っているだけのサイトではだめ。深掘りすればいくらでも施設側のコンテンツが出てくるというふうにすれば、見る人は楽しんで予約できる。宿泊客の口コミもにぎわっています。国内では1番多い。ごちゃごちゃしてしまいそうなコンテンツをいかにまとめるか、その開発スピードはやはりうちは速い。フットワークの軽さを活かしてユーザーに次々と驚きを提供していきたいですね」（山本考伸社長）