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図表7 子どもを私立中学に入学させたらこんなにかかる

そして、住宅ローンと並んでサイフのなかからお金が飛んでいく原因となっているのが子どもの学費なのだ。図表7は都内の私立中学に入学させた場合の初年度の納付金の額。公立の中学校なら一切かからない授業料が年額45万555円。そのほか入学金や施設費などを含めると、その総額は92万3644円にも達する。しかし、節約アドバイザーの和田由貴さんは「それ以外にも付随して出ていくお金に注意したほうがいい」と釘を刺す。

私立校の場合、子どもたちは遠方から通ってくることが多く、友達の家に遊びにいくとなると交通費がかかるうえ、ファミリーレストランでランチを済ましたいとなれば、その分だけ上積みしてお小遣いを渡さなくてはならない。運動部系のクラブに所属すれば、ユニホームを揃えたり、合宿や遠征の費用もかかってくる。修学旅行が海外となれば、積立金の額だってバカにならない。

それと忘れてはならないのが親同士の交際費だ。PTAの会合の後、「ちょっとお茶でも」といいながら行く先がホテルのラウンジ。公立校のように、学校内の空き教室を借りて、みんなでペットボトルのお茶を飲みながら歓談というわけにはいかない。だからといって無下に断るわけにもいかず、誘いにのっているうちにサイフはどんどんと軽くなっていく。

さらに、私立校の“お受験”には進学塾通いがつきもので、その月謝が6万~7万円ほどかかる。しかし、それだけではない。プリント・テキスト代などの教材費や、夏期・冬期講習の講習費に模擬試験代など、サイフのなかからお金が出ていくばかり。子どもを私立中学に進学させた和田さんは自らの経験を振り返りながら、「お受験だけでやはり年間100万円ほどかかった」とため息をつく。

先ほどの図表6では可処分所得に対する住宅ローン返済額の割合を折れ線グラフで示している。それだけ見ると40代、50代は負担が軽いように思える。しかし晩婚化によって、この世代の子どもたちが中学校や高校への進学期を迎えつつあり、住宅ローンと学費という“2大負担”によって家計はかなり圧迫されているのが現状なのである。