また、最近の傾向として顕著なのが通信費が膨らんでいる点。図表8を見てわかるように、11年のトータルの月額通信費は1万8426円で02年の水準と比べると25.4%もアップしている。その要因は携帯電話などの移動電話の使用料が増えていること。
「スマートフォンの通信回線がつながりにくく、携帯電話を合わせて持つ“2台持ち”する人も少なくない。結果、家族全員の通信が食費を上回る3万5000円にもなっていたケースがある」と和田さんはいう。
ここで、サイフの中身を給料以外で増やす資産運用の面ついても検証しておこう。藤川さんは「年輩の方ほど安定志向が強いように思われるかもしれない。しかし、実態はその逆で若い世代ほど安定志向が強く、預貯金で虎の子のお金をしっかり守っている。投資信託にしても、インデックス型の投資信託を毎月一定額購入していく堅実な積み立て購入を選択する人が多い」と指摘する。
図表9は年代別の資産運用の内訳だが、確かに20代は預貯金の割合が79.8%と他の世代よりも飛び抜けて高くなっている。
一時人気のあった外貨建ての預金だが、多少利回りが高くても為替が円高に振れると、その為替差損で利子の分など軽く吹き飛んでしまう。このため、あえて外貨建て預金で運用をする人は少なくなっている。また、海外運用型の投信についても同じような理由から人気が薄れており、資産運用については総じて安定志向、保守的な傾向が強まっているようだ。
ただし、ここでも特異なのがバブル期に株式投資で一儲けしたことのある40代、50代で、その際の成功体験が忘れられずに証券会社の営業マンの勧誘につい耳を傾けてしまう。「大損して懲りていたはずなのに、夢よもう1度という気持ちで手を出し、損失をさらに膨らませている」と藤川さんは顔を曇らせる。