「たとえば、ブロック遊びを何時間も集中してやることはいい経験になります。親が強制的にやらせたことでも、子供が面白いと思ってくれればいい。子供は自分の力が上がっていくことがわかり、そのことで親からほめられたりすると、それを報酬としてとらえ、さらに集中できるようになります。この快感を覚えるときに働く脳内回路を『報酬回路』といいますが、ほめて育てることは報酬応答行動を増強させる意味でとても大事なのです。また、できる子供に共通しているのは、興味の範囲が広いこと。小さいときにいろいろ経験した引き出しがあるから興味がもてるわけで、そういう意味では、親が子供のためにどれだけ接する時間をつくれるか。外へ出て、道ばたの雑草を見ながら会話したり、科学館へ行って親子で楽しんだり、そんな時間も大切かもしれません」

一方、石浦教授は「脳は1~3カ月で変えることができるんです」と、なんとも興味深い話を教えてくれた。

「最初にわかったのは、指と脳の関係によるものでした。20年ほど前、ジェンキンスという研究者らが、サルの親指と小指を縛って残りの3本の指しか使えなくすると、脳はどのように変化するかという実験をした。脳には手足を動かす運動野という場所があり、手も足も5本の指を動かす場所はそれぞれ違っています。この実験では3カ月ほど経つと、人さし指と中指と薬指を動かす部分が縛った2本の指を動かす部分に侵入して大きくなり、親指と小指を動かしていた部分がなくなったのです」

この結果から、脳は再編成される、つまり作り替えられるとの見方が出てきたわけだ。これを脳の「可塑性」というが、そうなると1~3カ月の間、“何か”を習慣づければ、成績アップも集中力アップも夢ではないことになる。ただ、習慣づけのために何に興味をもたせるか、どのようにモチベーションを維持させるかは、工夫のしどころというわけだ。

よく「理数系は男子が得意で、語学系は女子が得意」などといわれることがある。そうした得手不得手についての遺伝の影響も気になるところだ。