「働くモチベーション=お金」であるなら、現在の会社で出世することがもっとも効率的な方法に思えるが、出世意欲はあるものの「経営幹部になりたい」と答えた人は5人に1人にとどまった。独立・起業への意欲がある人は4人に1人。「海外に赴任したい」「海外で就職したい」などの海外志向も、若年層では若干あるものの、全体として弱い。
仕事に対する閉塞感や将来への不安感は、若い世代でより顕著に表れている。
「現在の会社に未来を賭けたい」「転職するより現在の会社でより長く働きたい」などにイエスと答えた人の比率は若年層ほど低く、20代が最低だった。
転職志向も高く、「現在の会社で長く働くより転職したい」と答えた人が20代では半数近くに及び、「現在の会社に自分の未来を賭けたい」と答えた人は20代で7人に1人しかいなかった。
「入社して間もない20代がもう転職希望?」と思わされるが、就職氷河期が続く中、納得感が低いまま就職先を選ばざるをえなかった結果ともいえる。
「働くモチベーションはお金」「転職する際、最も重視するのは給与」「仕事はお金を稼ぐ手段にすぎない」と答えた20代、30代の比率がほかの世代に比べて高いことも、仕事に希望を見出せない若者の状況を物語っている。回答者のうち、20代の37%、30代の29%が非正規社員(契約、派遣、パート・アルバイト)であったことも、結果に大きな影響を及ぼしているだろう。
「これまでも言われてきたことですが、今回の調査では“不幸な若者像”がより明確になりました。20代の3人に1人は『働きがいがない』と感じています。会社に対する忠誠心や会社の将来性に対する評価からも、勤めている会社を信用していない若者像が見え隠れします。しかし、そうした会社観や仕事観は、彼らが生まれ育った時代背景を見れば納得できるでしょう。物心ついたときにはバブルが崩壊しており、リストラや成果主義に脅かされる大人を見てきた。同級生や仲間の多くは非正規社員で、自分もいつそうなるかわからない。そんな状況で育った若者たちに、会社に対するロイヤルティを求めるほうが無理というものでしょう」