大腸がんを早期発見する方法はあるのか。昭和医科大学の工藤進英特任教授は「大腸のポリープががんになるという認識は古く、本当に注意すべきは『陥凹型がん』だ。しかし、便潜血検査やCT検査では見つけることは難しい」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、工藤進英『大腸がんで死んではいけない 「神の手」ドクターが教える最新治療法』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

手術中の台の上の外科器具
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大腸がんの死亡者数が約14倍も増加

2人に1人ががんになる時代と言われていますが、がんの中でも近年、顕著な増加傾向にあるのが大腸がんです。

かつて、愛知県がんセンター名誉総長だった富永祐民先生が調査した結果によると、私が生まれた1950年前後、大腸がんで死亡する人の数は約3800人でした。私が新潟大学を卒業した頃には1万人強となり、昭和医科大学横浜市北病院消化器センターの教授として赴任した2000年には、何と約10倍の3万6000人に。

さらに2023年、大腸がん死亡者数は5万3131人まで増えました。内訳は男性が2万7936人、女性が2万5195人です。2022年のがん死亡数の順位を見ると、大腸がんは肺がんに次ぐ2位で、男性でも2位、女性の場合はワースト1位という結果が出ています。

2020年に大腸がんと診断された数は14万7724例(男性8万2809例、女性6万4915例)と、全がんの中で1位。人口10万人当たりの罹患率は117.1例です。

図表1は年齢階級別の大腸がん罹患率を示したものですが、40代から男女ともに増加し始めて50代で加速し、高齢になるほどその確率は高くなります。したがって40歳を過ぎたら「大腸がん年齢」と考え、定期的な検診を受診することが、ご自分の命を守る一歩と言えます。

【図表1】大腸がんの年齢階級別罹患率
大腸がんで死んではいけない』(幻冬舎)より