山辺氏は利益をばっちり出せるようになったことで社内の立場も安定してきたという。
「中国系企業は欧米以上の成果主義。上司といってもビジネス経験が浅く、企業文化というものがほとんど育っていない。だからこそ数字しかないともいえる。逆に数字さえ出したら出社なんてしなくていいくらいだし、給料は成果に伴ってどんどん上がるので、日本企業よりシンプルでフェアだともいえるでしょうね」
一方、同じアジアで存在感を見せる韓国はどうだろうか。10年前から外資企業で韓国系プロジェクトに従事、韓国人上司の下で中間管理職として働く中川真一氏(48歳/仮名)に聞いた。
「私の上司は日本での仕事経験も長く、中国系に比べればやりやすいのでは。でも仕事に関しての上下関係はやはり非常に厳しいですね。縦社会の文化が強いので、役職が2つ上の上司については特に要注意です。食事中の礼儀や口の利き方ひとつにも非常に気をつけています」と語る。
上司が部下を叱るときも、叱る内容以上に「叱っている姿を本人や周囲の人たちに見せること」で自分の立ち位置を見せ、上下関係を徹底させようとする節がある。
「モノははっきり言うし、激しく怒鳴られることもある。それに耐えられなくて辞める人は結構いました」
ただし、スタンドプレーは嫌われる傾向があるそうで、このあたりはどちらかというと日本企業に近いといえるかもしれない。
「歴史問題などを話すことはまずありませんが、韓国について一定の理解は必要でしょう」と中川氏はアドバイスする。これはどの国の上司の下で働く場合でも同じだと思われるが、あまりに相手に合わせすぎるのもトラブルのもとだ。
「アジア人同士、見た目があまりにも似ているので、自分は日本人として韓国人と仕事をしているんだ、という意識を持つことは大事です」