不動産バブルが崩壊した中国は今、どうなっているのか。外交官・島根玲子さんは「若者の失業率が特に高く、定職につけずに親のすねかじりをする若者が増えている」という。著書『13歳からの国際情勢』(扶桑社)より、一部を紹介する――。
南京の市街地
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庶民は家を買えない「不動産バブル」

中国で今一番問題となっていることは不況です。経済がとても悪く、人々の生活が苦しいのです。その主な原因が、不動産バブルの崩壊です。中国では、人々の生活が豊かになるとともに住宅建設がどんどん進み、不動産の価格がつり上がりました。いわゆる不動産バブルです。

特に、深圳しんせんや北京などの大都市では一時、不動産の価格が年収の50倍以上と、庶民には一生かかっても手が出ないような値段にまで上昇しました。今でも北京や上海などの大都市では、中古住宅でも年収の25倍を超すことが珍しくありません。