副社長に直訴した「ビッグバン」の先

ライフネット生命保険 社長 
出口治明
(でぐち・はるあき)
1948年、三重県生まれ。72年京都大学法学部卒業、日本生命入社。92年ロンドン事務所長、95年国際業務部長、98年公務部長。2006年生命保険準備会社ネットライフ企画株式会社を設立、同社社長に就任。08年生命保険業免許を取得、現職に。

1987年10月14日、朝日新聞の朝刊一面に「大蔵省が『投資銀行構想』、業務を実質自由化」という見出しの大きな記事が載る。読んだ瞬間、「あっ、これは、あのときに議論していた件だ」と頷いた。

記事によれば、大蔵省(その後、金融庁と財務省に分割)が証券業務と銀行の兼営禁止や、長期信用銀行や信託銀行、普通銀行の分離など、自由化の壁となっている日本の制度を改め、業務をまたがって展開できる「投資銀行」の創設を打ち出す、としていた。戦後続いた制度を大きく変え、各業態の間に高く設けていた「垣根」を崩すという構想だ。大蔵大臣の諮問機関である金融制度調査会(金制)の研究会が近く報告書に盛り込み、金制で審議を始め、翌年5月に答申をまとめる、という。