二宮尊徳が読んでいた本

二宮尊徳は薪を背負って本を読む銅像が建つくらいだから、かなり苦労した人生を歩んだことは容易に想像できるだろう。実際、壮絶だ。

江戸後期の1787(天明7)年相模国栢山(現、小田原市)に生まれ、14歳で父を、16歳で母を失う。さらに、自分の家の田畑は洪水によって流失し、伯父の家に身を寄せることになる。ここで苦学して一家を再興する。まさに、薪を背負って本を読む日々だったのだ。

ちなみに、尊徳が銅像で読んでいる本は、儒教の経書の一つである『大学』である。幼少時から勉強が好きだった尊徳は薪を取りに山に行く時や帰る時に大声で『大学』を音読していた。近所の村人の中には「あいつ、ちょっとやばい」と陰口をたたく者もいたというが、それもそのはずだ。当時、本を読んでいる農民などツチノコくらいいるかいないかわからない存在だ。だが、この学問への飢えが尊徳を大いに飛躍させる。