1日前

プレゼンの資料は1カ月くらい前から作成を始めて1週間前に完成させる。その段階でいつでもプレゼンできるレベルにあるが、前日までの1週間で、細かい部分での最後の根回しをする。

直前まで微調整は続いた。会議3日前に「キャラクターがロゴの部分にかかっているから離したほうがいい」と言われたこともあった。その段階で外注に出す時間的余裕はないため、開発や販促のメンバーに頼み、暫定的に修正を行った。

「直前の修正要請にはイレギュラーな形で対応することになります。しかし修正の要請があってから、『誰かできる人いない?』と人を探しているようでは遅い。じつは修正を求められるポイントは事前にある程度わかっています。関係者から突っ込みが入るのは従来と異なるチャレンジをしたところ。そこに関してはあらかじめ対応策をメンバーと共有しておくことが、直前になって慌てないコツです」

1週間前から前日まではプレゼンのイメージトレーニングも行う。どのように表現したら、誰からどのような反応が返ってくるのか。シミュレーションを繰り返し行いリスクと対応策を最終確認する。

「子育て世代の私は『映画 怪物くん』の人気を当然のように受け止めています。しかしなかには『映画 怪物くん』の人気を実感していない役員がいるかもしれない。そうした問いを想定して、『大手コンビニでもタイアップ企画が進行中で、これから一気に露出が増える』とパッと答えられるように準備するのです」

各部署の担当者レベルで話をもう一度詰めておくことも重要だ。

「会議本番でよくあるのが、他部門の役員からの『できるかどうか、現場に聞いてみないと』という反応です。これに備えて事前に、該当部門の現場の担当者と話をしておけば、『現場に打診したところ、この方法で大丈夫と回答を得ています』と話を先に進められます」

ただ、こうした慌ただしさも1日前まで。同社は会議前日までに出席者に資料を配る決まりになっている。配ってしまえば、あとはやることはない。前日の夜は早めに帰宅して翌日に備えるという。