QRコード決済にどうやって対抗するか

「Suicaの当たり前を超えます」。東日本旅客鉄道(JR東日本)は昨年12月10日、こんなキャッチフレーズとともに交通系ICカード「Suica」(以下、スイカ)の新しい戦略を発表した。ここでいう「当たり前」とは「移動のためのICカード」「タッチ決済」といったスイカの利用イメージを表す。新戦略ではそうしたスイカの機能を一新し、様々な生活シーンで使えるデジタルプラットフォームにしていこうというわけだ。

上野駅の改札口
写真=iStock.com/emiekayama
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JR東日本が新しいスイカの戦略を発表したのは、昨年6月に公表した中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」が起点にある。コロナ禍での乗客数の落ち込みや今後の人口減少を踏まえ、鉄道やそれに付随した事業だけでなく、地域生活を応援する新しい事業領域を開拓していくのが狙いだ。それにはスイカの決済機能を強化し、移動以外に生活に便利なカードにしていこうと考えた。